拮抗という人間の静的動的なバランス
「拮抗(オポジション)」で検索すると、力ずくで引っ張り合う画像が出てきます。しかし、人間の組織体での「拮抗」とは、身体のあらゆる部位が必要最小限の力で引っ張り合って、お互いに邪魔することなくサポートしあうことで、自由な動きや振動を生み出すための必要不可欠な張力です。力みや縮みのような余計な緊張もそれに拮抗する力でバランスをとることはできますが、アレクサンダー・テクニークでは余計な緊張は除いていくことで、必要最小限の力で拮抗することを目指します。
この記事では、「人間の組織体における『拮抗』の原理」「声を出すための『拮抗』」「『拮抗』を妨げるもの」「不必要な『拮抗』」「考え方の食い違い」の5つのステップで、拮抗という身体の仕組みを体系的に解説します。
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1.人間の組織体における「拮抗」の原理
立ったり座ったり何かの目的をもって動くとき、部分的な力だけでその動作は完結しません。引っ張られることで生じる張力や、互いに支え合う力関係を知ることが大切です。
吊り橋が崩れていくと「拮抗」がなくなってその機能が失われるように、人間も「拮抗」がなくなるとその機能が失われていきます。
必要最小限の力で「拮抗」すること。その中に自分自身の良い使い方が含まれていることがわかります。
動いているときも「拮抗」し続けていると、なめらかに自然に動きがつながります。そのためには動いている間も「拮抗」のための準備をし続ける必要があります。
それは自分の中だけにとどまらず、触れている相手とも影響し合うことがわかります。
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2.声を出すための「拮抗」
声帯が自由に振動して声を健康的に発するためには、喉の緊張を除き、周囲の筋肉や組織体が拮抗関係を保っている必要があります。そうすると、いつでも動き出せるとともにいつでも振動できる自分でいることができます。
それには、「拮抗」することで生じる適切な張りが必要です。
吊り橋のワイヤーがたわむと振動することができないように、声帯が振動するには声帯やその周辺の組織体(結局全身を意味する)が不必要にたわんでいてはいけません。
声帯が振動するためには必要最小限の力による「拮抗」が欠かせません。それを妨げる要素は様々です。舌・顎・唇が邪魔をしないようにすることも役に立ちます。
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3.「拮抗」を妨げるもの
「拮抗」を妨げて私たちが自分自身を間違った使い方にしてしまうものにはどのようなものがあるでしょうか。実は、拮抗しているかもしれないバランスを、そうとは知らずにに崩してしまっている(崩れていた場合はさらに崩して)、という場面をとりあげてみます。
外から力を加えることで自分自身を長く広くしようとしても、身体は納得して長く広くなることはできません。
姿勢を良くしようとして自分の身体を押し上げてしまうのも、間違った解決方法です。
リラックスというのは、その考え方によって、良くなるかもしれませんが、悪くもなります。
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4.不必要な「拮抗」
「拮抗」していても、それが不必要なものであるときがあります。日常生活において不必要な「拮抗」はどんな場面で発生するのでしょうか。
歯医者さんで口を開け続けるとき、口を開けようとする力と口を閉じようとする力が戦っています。
それは、意識してやっていることと無意識にやってしまっていることが戦っているのです。
無意識にやってしまっている不必要な緊張(癖)に対して、意識してやっていることが不必要な緊張として拮抗しています。
雑草を根っこから抜こうとして茎から切れてしまうのは、雑草の内部での拮抗のバランスが保てなくなったからです。
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5.考え方の食い違い
間違った自分の使い方に対して、それに反発する力を加えることで、良い自分の使い方にするわけではありません。間違った使い方と良い使い方は「拮抗」しません。