映画館に行ったときのことです。「後ろに座っている人が見やすいように、座席の背もたれに背中を預けて座るように」というアナウンスがありました。確かに、そのとおりで言いたいことは分かります。けれども、私個人的には、背もたれに背中を付けないで座りたくなります。どうしたもんかと思っていました。
ある演奏会に行ったときのこと、その時思い出したのです。自分自身を長く広く使っていれば(全ての関節が動いて、全ての筋肉が必要最小限の力で動いて、どこも固めることなく、身体全体の拮抗を保っていれば/身体の各部位がお互いに影響し合うけれどもお互いに邪魔をしなければ)、やってはいけない動きというのはない、ということです。
そこで思い切って、背もたれに背中を預けて座りました。そうやって座りながら、膝は前へ身体から離れていく、股関節はスペースをもって広く、ただそれだけで背中が働くようになり、stay backとなって背中はさらに後ろへ向かいました。それはヴォイスワークの先生に教わった肋骨の動きからくる呼吸にもなりました。
演奏会の間何をやっているんだ、ちゃんと聴いているのか、と思われるかもしれません。今の私にとって、上に書いたいわゆる方向づけ/directionは、一度思い出せばその後それを続けることは大変ではなく(長時間経つと忘れていることが多いですが、短時間ならなんとか)、演奏会の間そこに自分を置くことができました。そのおかげでその演奏会の間は、どこそこが痛いとか座り心地が悪いとかいうこともなく、むしろ演奏を楽しむことができました。
演奏会が終わった後も、何の違和感もなく立ち上がって家に帰ることができました。
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