「Articles and Lectures:Articles, published letters and lectures on the F.M.Alexander Technique / Edited by Jean M. O. Fischer」(AmazonにてKindle版を購入しました。以降の日本語訳はGoogle翻訳を参考にしています。)という本があります。その中には、スカーネス・スパイサー博士(Dr R.H. Scanes Spicer)に対して、F.M.アレクサンダーが反論する文があります。
しかし、最初から仲が悪かったわけではないようです。その文章による諍いは、二人の関係の本質をあらわしているわけではないらしく、表面的なものかもしれません。そこに書いてあることは、今の私には理解できないこともありますが、その中の幾つかを何回かに分けて、ブログで取り上げてみたいと思います。
今回は、「背式呼吸/back (costal) breathing」です。
本当は、ここに「背式呼吸」という言葉を載せたくありませんでした。というのは、F.M.アレクサンダーは「背式呼吸」に限らず、「腹式呼吸」であれ、「深呼吸」であれ、呼吸に特定の名前をつけることを好まなかったからです。それは、呼吸が最も重要であるかのように伝わってしまう(呼吸は、自分の使い方の結果でしかない、と言いたい)とか、呼吸は身体の特定の部分で行うものと伝わってしまう(呼吸は、自分の使い方の結果である、と言いたい)とか、を避けるためでした。
実際、呼吸に名前がついてしまうと、その名前が独り歩きしてしまい、本来の意味から遠ざかってしまう可能性があります。本来あったものが抜け落ちてしまうこともあります。その結果、その名前の意味するものが一人一人の中で違ってくる可能性があるのです。というのは、ワークをするときに、横隔膜の働きを確認するつもりで、肋骨の一番下が動いているかな、と肋骨の働きを確認しようとすると、「あ、胸式呼吸ね」と必ず言われるからです。多分、その人が頭に思い浮かべる「胸式呼吸」と、私が思い描いている呼吸は同じではないと思うのです。
(チェアワークを始めると、「あ、座るのね」と言って椅子に腰掛け、「あ、立つのね」と言って椅子から立ち上がるのが、アレクサンダー教師が頭に思い描いているものと違う、というのと似ています。)
それでも、「背式呼吸」という名前を取り上げたかった理由はもう一つあります。上に書いたように誤解を招いてしまう可能性はあるものの、ヴォイスワークの先生に教わった呼吸をすると、「ああ、確かに背中だ」と思うのです。「背式呼吸」と呼びたくなる気持ちはよくわかります。でも、「背式呼吸」という言葉は使わないでほしいと願うのです。
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