無意識で自動的にに何かをやってしまいそうな場面で、抑制として一旦立ち止まることを覚えた人から質問されました。「一旦立ち止まることで良かったこともある。でも、いちいち立ち止まっていたら、自転車や車とぶつかりそうになって危なくて仕方ないんだが。」
そうです。危ないです。なんでもかんでも立ち止まればいいというものではありません。刺激に対して立ち止まる一択になってしまって、立ち止まらないという選択肢がそこにないのがいけないのです。一旦立ち止まるのは、無意識で自動的に何かをやってしまう必要のない何かを、やらない自分にするための手段です。刺激と反応の癒着を引き剥がすツールです。つまり、そこがゴールではありません。
ゴールは、その後に論理的で意識的な思考を通して身につけた直感だと言っていいと思います。
サッカーを始めたばかりの少年のことを考えてみます。始めたばかりなので、ボールが自分のところに来たらそのボールを蹴り返すことしか知りません。ボールが来たらとりあえず蹴る、ボールが来たら蹴る、蹴る。あるとき、コーチがその子に言いました。「ボールが来たら、蹴り返す前に回りを見てごらん。」そうして、その子はボールが自分のところに来たときには、蹴り返すだけではない、他にやることがあると知ります。そうして、ボールが来たら、そのボールを止めて、周りを見て、考えます。このボールをどうすればいいのかと。これが、アレクサンダー・テクニークで言うところの抑制(inhibition/インヒビション)です。ここがゴールではないことは確かです。試合の最中にはそんな余裕はないかもしれませんが、これは途中経過です。結局そこを通らざるをえないのです。その後、その子は経験を積んで、ボールが自分のところに来たときには場面に応じたやりかたでボールを取り扱うことを覚えていきます。それが、意識的で論理的であれば、場面に応じて対応を変えることができ、経験を積んでいくことで直感で判断することができるようになります。そこが目指すところです。
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