レッスンを受け始めた頃のことです。
先生の手で、「私の肩甲骨はもっと動くよ」、と示してくれたときのこと。「うわあ、こんなに動くんだ」と驚きました。でも痛くありませんでした。ということは、私の身体は肩甲骨がそんなに動くとは思っていなくて、動かないのが日常だったのだと思います。それは気持ちの良い体験でした。
家に帰ったその日の後。肩の後ろ、肩甲骨のあたりが固まって重くて動けないのに再び驚き、それでも自分ではどうしていいのかわかりませんでした。ただ、重いなー、固いなー、なんだろうなー、なんか悪くしちゃったのかなー、と思っていました。そうしているうちに、いつの間にか何も感じないいつもの自分になっていました。
今思えば、おそらく、家に帰ったその日の後は、自分の肩甲骨はいつもの肩甲骨に戻っていったのだと思います。けれども、先生の手で軽く動いた感覚が残っていたために、相対的にそれが重たく固いと感じたのだと想像します。その後、自分の感覚もいつものものに戻っていって、何も感じなくなったのだろうと思います。
先生の手で自分の身体を良い使い方に持っていってもらった場合、自分ではそれを維持できません。そのために、自分の身体はその都度良い使い方の自分と間違った使い方の自分を行ったり来たりします。その都度上のようなことが起こります。自分で自分の身体を良い使い方に持っていくのは、それとは別に取り組まなくてはいけません。自分で自分の身体を良い使い方に持っていく場合、そんなに急激に変化を起こすことはできません。少しずつ変わっていくのです。けれどもあるとき、以前の自分と変わっていることにふと気がつきます。その時にやっと自信をもってこれでいいんだと前に進むことができます。
<本文中に関連するリンク>
新しい自分の使い方に関する記事
間違った自分の使い方に関する記事
筋感覚に関する記事