あるワークショップで自己紹介をしていたとき、「股関節が柔らかいな」という座り方をしていた人がいました。その後で身体を動かして全身の関節を曲げていき、しゃがむときでした。その人の股関節(そこだけではなくて他のところもですが)がロックされてしまってしゃがむのが大変そうでした。
この人は股関節が固いのでしょうか柔らかいのでしょうか。実は、ある動きのときに特定の関節が固い人が1日中365日何をやっても同じところがずっと固いとは限りません(ずっと固い人はいるかもしれません)。反対に、ある動きのときに特定の関節が柔らかい人も1日中365日何をやっても同じところがずっと柔らかいとも限らないのです(ずっと柔らかい人はあまりいなさそうですが、理論上はいてもおかしくない)。
日常生活でなにげなく行う様々な動きがあります。その動きの中で、股関節をロックさせていないとできないと思い込んでいる動きがあると、その股関節周りの筋肉とその周辺の組織を固めてしまいます。それは、その筋肉たちを固めないとその動きはできないと思い込んでいるだけです。その筋肉たちをうまく働かせることができなかった経験があって固めることを覚えたのかもしれませんが、本来は固めることで対応するのではなく、動かしてバランスを取り続けることで対応できる(事故・怪我・病気を除きます)ものなのです。そういう経緯があると、他の動きでは股関節が自由でいられるのにその動きになると股関節が自由にならない、ということが起こります。
特定の関節が常に自由でいてほしい、そうしてロックさせてしまっているその関節や筋肉たちの不要な緊張を除いていきたい。それは、動きによって事情が変わってくるので、動きの中でみていくことになります。アレクサンダー・テクニークのレッスンでは動きの中で不必要な緊張をみつけて除いていきます。
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