ダンスでいきなりバランスの異なる次の動きに移ろうとすると、身体にはその動きに拮抗する力が生じて、動きを引き戻そうとする力が働きます。自分がやりたい動きに対して身体は反対の反応をするのです。そこで、次の動きに移るために力づくで動くことになります。
準備をするということは、身体に次の動きに移ることを理解させ納得させ、身体全体を拮抗させたまま動くためのものではないかと思います。
準備をするからには、その先にはなんらかの動きがあると思われます。ダンスでいえば身体の動き(位置・状態)、歌でいえば身体の振動(振動だけではない、動きもあるけど)。まずはその先の動き(振動)がどうなるのかを覚えている必要があります。しかし、頭で覚えているだけで身体が覚えていなければ拮抗させたまま動く(振動する)ことはできません。身体が覚えていて身体が拮抗し続ける必要があるからです。そうして、動き(振動し)始めた後も動き(振動し)続けるためには拮抗し続けるために準備をし続けなければいけません。自ずと身体は全ての動き(振動)の流れを覚えておくことになります。覚えるのは頭ではなく身体です。そうして一連の準備も一緒に覚えることになります。