アレクサンダー・テクニークでときどき出てくる、「良かれと思ってすること」。これは、本能に従うべきときにまで意識的にコントロールしようとしてしまったり、自分が意識的に意図してやろうとしていることが間違えているときのことです。それは、正しいことをやろうとするときに起こりやすくなります。そうして、動物的本能(無意識のもの)と意識の指示が一致しません。
動物的本能(無意識のもの)は、意識の指示に反発し、緊張が生じます。伸張反射が起こる(これは、意図してやろうとしていることが間違えているのに対して、身体の正常な反応です)としたら、おそらくこの時だと思われます。伸張反射でなくても、意図的に間違えた使い方として筋肉を不必要に縮めることもあるかもしれません。意図的に間違えた使い方として筋肉を不必要に緩め過ぎることもあるでしょうが、このときはその筋肉の代わりにどこかの筋肉がお手伝いをして不必要に縮めているでしょうから、同じことです。これを繰り返すことで、最初は必要として起こったその緊張が習慣となり、不必要な緊張として定着します(定着してしまった段階で、身体の正常な反応だった伸張反射は、反射ではなくなり、その動きに必要だと身体が思い込む筋肉の収縮になります)。
伸張反射(しんちょうはんしゃ)は、筋肉が急に引き伸ばされたときに、その筋肉自体が反射的に収縮し、元の長さに戻ろうとする現象です。別名ストレッチ反射とも呼ばれます。
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アレクサンダー教師は、この不必要な緊張を伴う習慣を作らないために、レッスン生が「良かれと思って」何かをやり始めることに敏感です(アレクサンダー教師の経験にもよります)。それが習慣になる前にやめさせたいからです。もちろん、レッスン生がアレクサンダー教師の言葉を聞く理解力とそれをやめる能力(抑制 inhibition/インヒビション)も必要です。
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