自分自身の使い方の良い人がいて、身体全体の筋肉を含む組織全体がいい感じに拮抗しているとします。その人に新しく不必要な習慣により不必要な癖が生じたとします。その癖は、不必要な緊張を生み出し、身体全体のバランスを不安定にします。拮抗が崩れた状態です。その不安定なバランスを取り直すために、不必要な緊張に対して拮抗する力を加えると、身体全体は拮抗が保たれた状態になります。
しかし、不必要な緊張に対して拮抗する力は、やはり不必要な緊張です。その拮抗しているはずの不必要な緊張どうしの拮抗は不安定なものであり、その拮抗が崩れると、また新しく拮抗状態を作るために新しい不必要な緊張を追加することになります。それを繰り返していくと、拮抗は保たれているかもしれませんが、不必要な緊張で塗り固められた身体になってしまいます。
そこで、アレクサンダー・テクニークでは、ただ拮抗するだけではなく、そこに「必要最小限の力で」という条件が必要になります。
身体全体の筋肉を含む組織全体がいい感じに拮抗している人に、新しく不必要な習慣により不必要な癖が生じたとします。その癖は、不必要な緊張を生み出し、身体全体のバランスを不安定にします。拮抗が崩れた状態です。そこで拮抗を保つために何をするかということです。「必要最小限の力で」が条件にあることから、拮抗を保つためには、新しく不要な緊張を追加するのではなく、既に生み出されてしまった不必要な緊張を除きます。それで崩れた拮抗は再び保たれるようになるのです。その後何回不要な緊張があらわれても、その度に不要な緊張を取り除きます。そうすると、常に拮抗は保たれていながらも、不要な緊張のない必要最小限の力でいられるのです。