仕事でまだやったことのない作業を教わりました。そうして作業をしている途中で右手が痛くなって気が付きました。
私はまな板の上にかぶさるようにして、視界は眼の前のまな板の上に乗っている砂肝だけになっていました。砂肝をよーく見るためなのか、砂肝に顔を近づけるためにまな板の上にかぶさっていました。視界から砂肝以外のものを排除するかのように砂肝に近づいていました。そうして無意識に自動的に前傾してしまうことが起こっていたのです。刺激に対して無意識で自動的に身体が反応してしまうことが習慣・癖ですから、これは私の習慣・癖です。そして、ほとんどの人にみられる習慣・癖です。このように、新しく何かを教わるときはそのことに一生懸命になって自分を見失いやすいのですが、一方、まだ習慣・癖が定着してはいないために修正しやすいということもいえます。直すには早いほうが効果的です。
このときの刺激は[砂肝と新しく教わったこと]、反応は[前傾して視野が狭くなり、包丁を持つ右手に不要な力が入る]ことでした。アレクサンダー・テクニークのレッスンでは[刺激]とセットになって起こる[反応]との癒着をはがしていきます。今回は新しく教わったばかりなので、まだ習慣・癖が定着してしまった癒着はありません。砂肝を目の前にしながら、視野を広くしていきます。まな板、作業をしている他の人、左右で起こっていることなどなど。初めてやる作業なので砂肝の細かいところを見たくなるのですが、実はそんなに近づかなくても必要なところは見えています。たいして変わりません。そうして、砂肝とまな板から心理的にも物理的にも少し距離をおきます。包丁を持つ手は軽くにぎり、腕は包丁がまな板に向かう反作用で上に向かい、指・手首・肩の関節が距離を持ちながら長くなります。自分も上に向かいます。
アレクサンダー・テクニークが身についていない人は、この習慣・癖が起こってしまうことに気づかないかもしれないし、気づいても変えることができないかもしれません。レッスンでは自分の身体に起こっていることとゆっくり向き合っていきます。
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