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何も考えないで包丁を動かしたら切れていた

アレクサンダーテクニークとは

あ、と気づいたときにはもも肉が皮ごときれいに切れていました。何を思っていたのか、肉を切っていることを忘れて手を動かしていたのです(あぶないので真似しないでください)。切れた肉を見て、こんなになんの努力もなく切れるのかと驚きました。

以前よりは楽に肉を切っているつもりでいました。それでもまだ楽になれるのです。

と同時に、「肉を切る」と思うだけでなんて必要のない努力を続けてきたのかと思います。「肉を切る」と思う、または肉の存在を意識するだけで、肉をうまく切ろうとして(end-gaining エンドゲイニング)身体は何かをやろうとしてしまうのです。それは必要のない努力ばかりか、包丁で楽に肉を切るのを妨げているのです。

これは「思考」が身体の邪魔をしている一つの例です。

アレクサンダー・テクニークの言葉では

「肉をうまく切ろう」とする結果を求めるところから全ての動きが生じています。その動きは肉を切るために適した動きにはなっていません。結果的に「肉をうまく切る」ことはできません。これをアレクサンダー・テクニークの言葉で 「end-gaining エンドゲイニング」 といい、学校の先生が翻訳した本には「結果至上主義」とあります。

今起きていることから自分自身を切り離して考えることができるようになったとき、最も望ましい結果が得られるだろう。
(中略)
アレクサンダーはこれとは全く反対の態度(あり方)を「結果至上主義(end-gaining)」と名付けた(これはすなわち、手段が間違っているか正しいかにはお構いなく、最終目的に到達することだけを求めること)。

アレクサンダー・テクニークある教師の思索P19

おそらく、本当に肉をうまく切る職人さんは「肉をうまく切ってやろう」と思って切っていないと思います。志として持っているかもしれませんが、実際に切るときには違うことを考えています。自分の良い使い方から始まって、包丁と自分の関係、肉と自分の関係、一つ一つ丁寧に取り組んだ結果「肉がうまく切れる」のです(自分にも言い聞かせ)。


<本文中に関連するリンク>

学校の先生が翻訳した本(外部サイト)

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心が身体の邪魔をする(心と身体はつながっている)に関する記事

結果至上主義(end-gaining/エンドゲイニング)に関する記事

masako

masako

アレクサンダー教師始めました。 東急東横線学芸大学の近くでレッスンします。

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