最近、何度かこけることがありました。舞台の上で・自転車に乗っていて・椅子に座って手を伸ばして。どれも怪我にはならなかったのですが、冷静でいられたのが不思議でした。少なくとも頭を打たないようにしようと考えることができて、身体はなるがままにしていました。この、こけて倒れていく自分に抵抗しないことが上手にこけることにつながるのではないかとその時感じたのです。
倒れていく自分に抵抗すると、力が入って筋肉とその周辺の組織を緊張させて筋肉を固め関節を固めることが起こります。そうすると、硬い棒と同じで衝撃が強いとその衝撃を受けて何かが壊れやすくなります。倒れていく自分に抵抗しないということは、筋肉とその周辺の組織を必要以上に緊張させることなく、関節も固定させないということです。そうすると、関節が動くことで衝撃を吸収するので、柔らかい棒のように壊れにくくなります。余裕があればいい動きができるかもしれません。
体中の筋肉とその周辺の組織を縮め、関節を固めていると、全身の動きが鈍くなります。けれども、人間の日常では全身の動きを鈍らせてもいいことは起こりません。野生であれば、固まって動かない間に天敵がいなくなる可能性があるけど、人間の日常ではそういうことは起こらないのです。なので、反対に体中の筋肉とその周辺の組織を縮めることも、関節を固めることもなく、いつでも動き出せる身体でいることが良かったりします。
倒れる、コケる、という外からの刺激は、身構えたり倒れないように抵抗するために身体を緊張させて固めるという反応が起こりやすいです。お年寄りの方で一度こわい思いをした方は慎重になって身体を固めているようにみえます。頭を打つのは避けたいので、慎重になることは大切なのですが、必要以上に慎重になると、本来働くべきところを働かせることなく、不要な緊張で全身を固めてしまいます。そのため、それまで働くことができたことまで働かなくなる可能性があります。ちょうどいいところを見つけたいものです。
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