精神科医の先生に教わりました。「思考がループすると動きが遅くなるからわかりますよ」と。
不要な考え・不安・心配がループして困るという人に試してみました。動きが遅くなった時に「今、ぐるぐる回ってるでしょ」と声をかけると、ハッと我に返ったようにその人は答えました。「なってた、ありがとう」。実際には、外を見ていなくて意識が自分の中に入ってしまったように視線も固定されていました。その状態が病的かどうかは程度によると思います。健康な人にもそういう瞬間はあると思います。
しかし、人間だから、天敵がいないからそのような状態でも生死に関わることはないかもしれませんが、野生の動物がそんな状態でいたらあっという間に襲われて食べられてしまいます。動物としては自然にありうる姿ではないのではないか、そんな気がします。
実際にアレクサンダー・テクニークのレッスンをしていても起こります。不要な考え・不安・心配が始まると動きが遅くなります。アレクサンダー教師としては、その不要な考えをなくしてもらうために、違うことを提案して考えてもらいます。実際には頭・首・背中のことを考えてもらいます。自分の外(室内であれば壁や他の人、室外であれば景色や他の何か、等など)を見てもらいます。
串打ちの仕事をしている時に「遅い、もっと速く」といわれた時にもこの可能性を疑ってみます。そういうときは串を打ちながら何かを考えているみたいで(それは、関係ないことに限らず、今打っている串のことを考えていても同じことが起こる)、ハッと気がついて時計を見ると、Ⅰ本打つのに何分かけていたかわからないことがあります。串打ちに意識を持ち続けていられると、打ちはじめの時間を覚えていてⅠ本打つのにどのくらい時間がかかっていたかわかるので私の中で何かが違っていたことがわかります。自分の外に意識を持っていられるにはどうしたらいいのか、いろいろ試しているところです。わかったことは、余計なことを考えたり自分の中に入ってしまわないでいられると、求められる速さで打つことができることです。周りで起こっていることを見るようにもしています。人によって効果的なことは違うと思うので、アレクサンダー・テクニークのレッスンではその人に合ったものを提案していきたいと思います。
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