レッスンをしていると、「upが足らない」「upを忘れないで」「もっとup」と声をかけることが多くなりますが、ではupというのは具体的に何をするのか、という疑問がレッスン生に生じます。
upというのは、抗重力としていつでも身体の中に働いている、上に向かう内在している力であり、それがあるために重力に対して直立することができます。これは地球上で生きてきた生物として身体の中に備わっているものであり、筋肉(だけではないかもしれませんが)はどっちが上かを知っているということです。
「up」と声かけられても、足で押し上げるわけでもなく、別の何かをするわけでもありません。よく引き合いに出されるのが植物です。植物は踏ん張って立っているわけではなく、重力を感じ取ってどっちが上かわかっている、ただそれだけです。ネギを横にしたまま冷蔵庫に入れっぱなしにしておくとその先端を曲げて上に向かって伸びていきます。同じように、人間もどっちが上かわかっていてそっちに向かって行こうとする力が備わっているから、それを妨げないようにするだけだということです。
結局何をすればいいのかわからない話です。ここで何かをしなくてはいけないと思ってしまうのが現代人ですが、その必要はありません。自分の身体が知っているから身体に任せていいということです。それを身体が忘れてしまっているときは身体に思い出してもらう必要があります。アレクサンダー教師の手は、身体に思い出してもらうためのお手伝いをします。
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