ピアノの発表会での話だそうです。「前の人が上手に弾くと、緊張してうまく弾けないのよ。」
演奏会ではよくある話だし、本当はそうでなくてもその場の空気を和ませるために言っていることもあります。アレクサンダー・テクニークで取り上げるのは、言葉通り前の人に影響されて自分の能力が発揮できないことです。前の人に限らず、客席の誰かだったり、ピアノの先生だったりします。
人間同士なので何かしら影響を与え受け取ります。それを排除しようとすることは、身体でいうと、各部位が離れてバラバラの状態。これは死んでいる時のみ、生きているときにはありえません。実際の身体は各部位が離れてバラバラにはなりません。身体の各部位はお互いに影響し合っているけどお互いに邪魔をしない、そのためには身体の各部位同士が適切な距離をとります。人間同士も適切な距離をとります。人間同士の距離が近すぎるのは、身体でいうところの筋肉とその周辺の組織を縮めて関節をロックしてしまい、普通にしていれば近づかないものが近づいて摩擦を起こすようなもの。同じように、誰かと自分も、必要以上に近づいて摩擦を起こさないように適切な距離をとります。
摩擦を起こさない距離は人によって違うと思うので、ちょうどいい距離を探します。
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