レッスンを始めたばかりのころは、ほとんどの人が椅子から立ち上がるときにバランスを取ることができずに椅子からずり落ちてしまいます。私もそうでした。なぜずり落ちてしまうのか。
椅子に座った状態から立ち上がるまでの間、アクロバティックなことは一切必要ありません。自分の身体が持っている関節や筋肉とその周辺の組織を全て使えていれば常にバランスを取り続けることでたどり着く動きです。
けれどもほとんどの人は、関節をロックし筋肉とその周辺の組織を固めている場所を知らず知らずのうちにつくってしまっています。関節をロックし筋肉とその周辺の組織を固めている場所はひとつの塊となってその上下の動かせるところでバランスをとるしかありません。バランスをとることのできる関節が少なくなっています。その関節は筋肉とその周辺の組織も働くことを忘れています。そうして、自分がコントロールできるところまでは重力に従って椅子から滑り落ち、それを足で受け止めて持ち上げて立つのです。
習慣・癖となってしまっているのでなかなか自分で気づくことはできません。けれどもこの動きができるようになると、それまで働くことを忘れていた筋肉とその周辺の組織たちが働き始めるので、他の動きもできるようになっていきます。これがただの立ち座りの練習ではないという所以です。
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