立ち話をしているときに、片側の肩が上がっていることを指摘したら、「片方の足に体重をかけていることが多いかもしれない」という返事でした。それで、私は「両方の足に均等に乗ることをやってみて」と提案した瞬間です。「はい!片足に乗るのをやめます!」と返ってきました。
アレクサンダー教師としての私は、片足に乗るのをやめてほしかったわけではありません。普段、両足に均等に乗ることがあまりないだろうから、普段やらないことをやってみよう、という提案をしたつもりでした。具体的には、右足に乗ってもいいし、左足に乗ってもいいし、つま先に乗ってもいいし、かかとに乗ってもいい、その中に両足に均等に乗ることを追加してみてねということです。
一番最初に声がかかるであろう首もそうです。「首を短くしないで」と言われたら、普通の人は「今首を短くしているからそれをやめて」という意味に捉えてしまいます。それではと、「首が長くなるように」という言葉を使うと、これも普通の人が聞いたら「首を長くしなさい」という意味に捉えてしまいます。アレクサンダー教師は、首が短くなっていることを指摘しているわけでも首を長くするために何かするように求めているわけでもありません。その人の首が今長かろうが短かろうが関係なく、「首が自ずから長くなるために短くしてほしくない」と言っているだけなのです。
これは日本人特有なのか、現代人の特徴なのか、人間社会を生きる全ての人間に当てはまるのかわかりませんが、レッスンでよくあるやりとりです。
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