歯医者さんに行くと悩ましいのが、口を開けるときです。あたりまえです。口を開けないと歯を診てもらうことはできないから。口を開けることそのものはいいんです。けれども口をずっと開け続けていると、顎が疲れてきて痛くなってきます。そうして、口を閉じるとホッと一息つくのです。歯医者さんの先生も、作業を続けた後「はい、楽にしてください」といって作業を中断します。ここでも(リラックスの声掛け参照)、顎を落として口を開け続けることは疲れることだという前提のセリフです。
毎回そうだし、それが当たり前だと思ってきました。
変だなと思ったのは、口を開けていると疲れてくるのは、顎の付け根、耳の近くだということです。口を開けるために筋肉を使うのであれば、収縮する筋肉は顎の下にないといけません。しかし、収縮することに疲れてくるのは、噛みしめて口を閉じるために顎を上げる筋肉だということです。
そこから考えられることですが、ここから先は私の解釈です。顎を噛みしめる筋肉は、噛みしめるときに収縮して働く筋肉です。それが、口を開けて顎を下にするときに伸びない、つまり緩んでくれていないのです。そうして、力でもって顎を押し下げようとすると、「いつもと違うことが起こっている」と身体が解釈していつもの状態を保とうとする働きが起こります。そこに拮抗する力が生じ、噛みしめる筋肉が縮もうとします。
まさにブレーキをかけながらアクセルを踏んでいることが起こっています。自分のやりたいことと身体がやろうとしていることがかみ合っていません。身体の仕組みからいえば、噛みしめる筋肉はその収縮している力を解き放って緩んで伸びればいいだけなのです。フースラーの先生に言われた、顎の開け締めを身体で制御しているというのがここにでてきています。私はまだ力を抜いて顎を落とすことができていないのです。
<本文中に関連するリンク>
身体の不要な緊張をやめる(inhibition/インヒビション)に関する記事
アクセルとブレーキに関する記事
拮抗することに関する記事