筋肉とその周辺の組織を不要に縮め、関節を固めているときというのは、不要に下に向かう力(down)が働いています。その不要な緊張を取り除くには、不要に下に向かう力(down)をやめて上に向かう(up)のがいい。しゃがむときも、下にあるものを取るときも、上に向かう内在している力(up)を忘れないでね、という話です。
パントマイムの動きで、1枚の板の向こうでエスカレーターを降りたり登ったりするように演じるのを見たことあります。板の向こうでは足首・膝・股関節を折りたたんだり伸ばしたりしていると思うのですが、上半身は変わらず頭は上に向かっているので、エスカレーターに乗っているように見えるのです。あれは演じているので実際は少し違うとは思いますが、あんな感じでupが抗重力としていつでも身体の中に働いているということです。
鉄片が空間の中では実際に磁石の方へ動いていなくても、鉄片の全ての分子が磁石の方に方向づけられていることを私達は知っている。それに、分子が磁石の方へ方向づけられているときでも、磁石も鉄片も両方ともどんな方向へも空間内を移動させることは可能だ。
アレクサンダー・テクニークある教師の思索P25
・・・中略・・・
同じように、頭とからだを「前に、上に」方向づけることができ、また、股関節と膝を曲げることで空間的には地面の近くへ(下へ)と導きながらも、前と上への方向づけを続けることもできる。
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引用した文は下のリンク先にある文庫本の25ページにあります。(外部サイト)
アレクサンダー・テクニークは、「不必要な緊張に気づき、やめていく」という、心と体の使い方練習法。本書では、幼少期からアレクサンダー自身に学び、アレクサンダー教育の基礎を築いた教師・マクドナルド自身が、このテクニークの本質を明らかにします。忙しすぎる現代人でも、立ち止まって、考え、実践すれば、心と体の統合を取り戻せる。今の時代に鋭く切り込む古典的名著です。
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