アレクサンダー・テクニークでは、首は楽で・頭は前へ上へ・背中は長く広く、と常に考えていきます。そうして、全身が重力に対して上に向かい、関節も筋肉とその周辺の組織も長く広くなるように考えていきます。実際にそう考えていった結果、手も足も身長でさえもいくらか長くなります。私の場合数ミリです。まだ長くなる余地はありそうですが、もともと自分の身体がもっている長さにしかならないので、どちらかというと短くならないでいるという表現のほうが近いかもしれません。
それでは、誰かに引っ張ってもらうとか外からの力で長くしようとするのが手っ取り早く思いつくことです。実は、人間の身体は何かいつもと違うことが起こると、いつもの状態を保とうとする働きが起こります。長くしようとして外からの力で引っ張ろうとすると、それに拮抗する力が新しく生じて筋肉とその周辺の組織は縮もうとします。これでは長くなることはできません。
アレクサンダー教師の手は引っ張っているようにみえるかもしれませんが、引っ張っているわけではありません。ここはトレーニーのときに訓練されるのですが、引っ張っていると「それは違う」と注意されます。理想は、身体全体が拮抗を保ったまま長く広くなることです。そうして、長くて広い方が普通と身体に思ってもらう必要があるのです。
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