「鼻の下に手をあてて手の上から声を出す」。高校のときからよく聞く先生の指示です。先生の中にはその意味をわかって教えている人、そう教わったから同じ教え方をしているだけの人、様々です。アレクサンダー・テクニークのレッスンはそんな先生を批判する場所ではなく、そういった指示をどのように受け止めるかを考えていきます。
高校で聞いたときにはなんのことだかわかりませんでした。では、この指示はどんな意味があるのか。
身体全体のネットワークが助け合い必要なところが働いていて、もうあと一歩でわかりそうなんだけど、という人にこの指示を出すと、「そうか、こういうことだったのか、わかった!」ということになります。
身体全体のネットワークの助け合いも今一つ、働くべきところが働かないで働きすぎるところもある人には、この指示を出しても、できないしわからないということがおこります。その人がこの指示を実行すべく毎日「鼻の下に手をあてて手の上から声を出す」ことを練習すると何がおこるのか。これはend-gaining(結果至上主義)であり、そこに至るまでの過程means-whereby(手段)を何も考えていません。身体ができていないために一足飛びに理想の動きをすることはできません。
言われたようにやってみてできなかったり、わからなかったら同じことを繰り返すのをやめます。身体の使い方を見直して違う道筋を探すことをおすすめします。そうしているうちに、身体全体のネットワークが助けあい必要なところが働き出し、もうあと一歩でわかりそうになったとき、この指示が意味をもってやってきます。「そうか、こういうことだったのか、わかった!」という瞬間です。
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