フースラーは声帯周りのことを丁寧に見ていきます。もちろん、声帯周りのことは全身のバランスの中に位置づけされているようですが、アレクサンダー・テクニークの側から考えると、そのレッスンは必要なところをすっ飛ばして心と身体が整った前提で声帯周りにいっているようにみえます。しかし、心と身体を良い状態にもっていけるようになってから声帯周りにいくようでは、声のレッスンにたどり着くのは何年先かということになります。
実は、顎・舌・喉・声帯などは身体の中でも首にもっとも近く、影響し合っています。身体のどこも全て影響し合っているのですが、首に近いがためにその領域がかぶると思われます。つまりフースラーの[喉をしめないで声を出す]レッスンは、アレクサンダー・テクニークでいうところの[首が楽で自由になる]を別の視点から取り組んでいるようなもの。歌うことが心と身体にいいというのは理にかなっています。F.M.アレクサンダーが喉のトラブルを克服することからスタートして心と身体の健康にたどりついたのもさもありなんです。
ただ、首だけにならないように全身のバランスは忘れないようにする必要はあります。喉をしめないようにする過程で、不要な緊張を生じては意味がありません。そういう意味ではアレクサンダー・テクニークの要素は最初から必要です。
アレクサンダー・テクニークが先か、フースラーが先か、悩むところです。両方並行して進むことができれば一番いいのかもしれません。
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