背中を使うようになると、足首・膝・股関節が動き、肩・首・頭も動く、と以前に書いたことがあります。そうして、今更ですがあたりまえのことに気がついたのが、背中を使うようになると背骨の一個一個が動き出すということです。私の場合、今まで棒のような板のようだった背中なので、一個一個全てが動いているわけではなく、上の方、下の方、とかが大雑把に動き始めているだけかもしれません。
それを実感したのは自分の背中ではなく、人の背中でした。レッスンをしていて背骨が一本の棒のような人もいれば、背骨がしなるように動く人もいます。今まではただそれだけだった認識が、そうか、背中が使えているってこういうことか、と思ったのです。ただ、それは背中しか見ていないこともあって実際には全身との連携もみていく必要があります。
そういう意味では、「背中を使う」が結果至上主義(end-gaining)になってしまう可能性もありそうです。重力に対して上に向かうupの力を持ちながら、身体全体が拮抗を保つ必要最低限の力で働き、身体全体が連携をとりながら日常生活を送っていると、その結果「背中が使えている」ようになるのが、理想なのでしょう。しかし、間違っているかもしれない、と思いながら「背中を使う」ようにしてみたらちょっと何かが見えてきた、というのも事実です。突破口を見つけるために、時には少しやってしまうことが必要なときもあるのかもしれません。しかし、そのときは、「やりすぎてしまっているかもしれない、違うことをしているかもしれない」ということに気づいている自分でいることです。そうして、その先に行くには軌道を修正していける自分でいることも大切です。