「つま先で地面を掴む」これはいろいろな場面でよく聞く言葉です。お能の先生もおっしゃっていました。パントマイムの先生からも聞きました。一方、F.M.アレクサンダーは喉の問題を解決していく中で身体全体が緊張して固くなってしまうことの一つに足の指で床をつかもうと頑張っていたことを上げています。F.M.アレクサンダーも演技を教わる中で「つま先で地面を掴む」ようにいわれていたようです。
ここからわかることは、おそらく「つま先で地面を掴む」ことは必要なのでしょう。けれども、「つま先で地面を掴む」ことをやりすぎると良くないということです。学校の先生から教わったことは、「立っているときはつま先はフリーでいること。それは、必要なときにつま先を使うためだ。」ということです。つまり、どういう場面でつま先が働くのか考えもしないで1日中365日ずっとつま先を緊張させていては、働くべきときがきてもつま先は今やっていることでいっぱいになってしまっているということです。ただ立っているだけのときにつま先が100%仕事をしていては、つま先に他のことをする余裕がなくなるということです。
実際に立っているとき、体重が脚を通ってそのまま地面におりるのは、足首の位置から考えてもつま先よりはどちらかというとかかとよりになります。そうして、そこから何らかの動きが起こるとつま先に働くべきことがやってくるのです。つま先を使うのも、動きの結果といえそうです。